公開シンポジウム「馬を受け入れた社会の諸相——ホース?インパクトの比較史」
INFORMATION
古代?中世の東西ユーラシアでは、馬の登場とその受容によってそれぞれの社会に大きなインパクトが生じた。その結果、生産体制?流通システム?交通?軍事システム?精神文化などには大きな変容が生じたが、それらはユーラシアの東西で行き交う馬の流通状況の変遷と密接な関係があったと考えられる。本シンポジウムはユーラシアの東西における馬の移動と受容、生産と消費と人間社会の関わりに焦点を当て、各トピックを相互比較することにより、各地域において問題となっている論点を違った角度から検証し、比較史と交流史の双方から古代?中世のグローバル?ヒストリーにおける馬のインパクトがいかなる意味を持っていたのかを考察する。なお、立脚点としては、東アジアでも比較的豊富なデータを持つ日本史研究における馬のインパクトを基軸とし、地中海?ヨーロッパ世界、特に日本と類似した環境条件を持つイギリスにおける社会と馬の関係に焦点を当てる。さらには、馬の供給地として歴史的に知られているイスラーム世界と中央ユーラシア世界における馬と社会の関係も視野に入れることにより、馬と人間社会の関係をより立体的な構図から見ることを試みたい。
講師
京都芸術大学大学院芸術専攻特任准教授
河野 保博(かわの やすひろ) 氏
國學院大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程を単位取得退学後、現在は京都芸術大学大学院芸術専攻特任准教授。主要業績に「古代の交通制度と馬—法規定の検討から—」(『歴史評論』839,50-58頁,2020年)、「唐代厩牧令の復原からみる唐代の交通体系」(『東洋文化研究』19,1-31頁,2017年)。
独立研究者
小林 史彦(こばやし ふみひこ) 氏
ヘブライ大学大学院文学研究科で博士(ユダヤ民俗学?比較民俗学)を取得。現在は比較民俗?文化研究の独立研究者。主要業績にJapanese Animal-Wife Tales: Narrating Gender Reality in Japanese Folktale Tradition(Peter Lang Publishing, 2015)、”Symbolic Representations of Apotropaic Power in Edo-Era Japan(1603-1868): Shishigashira or Lion’s-head Miniature Toys.”(Western Folklore 80/2, 2021)。
熊本大学名誉教授
鶴島 博和(つるしま ひろかず) 氏
九州大学で論文博士(文学)を取得。現在はFellow of Society of Antiquaries。主要業績に『バイユーの綴織を読む:中世のイングランドと環海峡世界』(山川出版社、2015)、H. Tsurushima(ed.), Nations in medieval Britain(Donington; Shaun Tyas, 2010)。
ニューヨーク市立大学ジョン?ジェイカレッジ?大学院センター歴史学教授
パク?ヒョンヒー 氏
イェール大学大学院で博士(歴史学)を取得。現在はニューヨーク市立大学ジョン?ジェイカレッジ?大学院センター歴史学教授。主な著書にMapping the Chinese and Islamic Worlds: Cross-Cultural Exchange in Pre-Modern Asia(Cambridge University Press, 2012)、Soju: A Global History(Cambridge University Press, 2021)。
本学文学部史学科日本史学専修教授
佐藤 雄基(さとう ゆうき)
本学文学部史学科世界史学専修教授
四日市 康博(よっかいち やすひろ)
司会
本学文学部史学科世界史学専修教授
小澤 実
詳細情報
名称
内容
13:15~13:30 緒言:四日市康博、河野保博氏
13:30~14:00 報告1「古代日本で馬を扱った人々—8~9世紀を中心に」:河野保博氏
14:00~14:30 報告2「中世イングランドで馬を扱った人々—11世紀を中心に」:鶴島博和氏
14:30~15:00 報告3「モンゴル覇権下の東西ユーラシアで馬を扱った人々—13-14世紀を中心に」:四日市康博
15:00~15:15 Coffee Break
15:15~15:30 コメント1「グローバル?ヒストリーの視点から」:パク?ヒョンヒー氏
15:30~15:45 コメント2「フォークロアの視点から」:小林文彦氏
15:45~16:45 ディスカッション
16:45~17:00 総括:佐藤雄基
対象者
申し込み
- 事前申し込み 不要
- 参加費 無料